幸福論
カーテンをあけてのぞくと君は夜景に夢中で、「向かいの宿の電気がついたり消えたりする部屋が気になる」と言いつつも、僕を見たその目は「よくもしめだしたな」という言葉を話していた。

「ごめんな。入っておいで」

「何をしてたの?」と言う言葉を言い終えるが先か、君は「わぁ」と声をあげた。

僕は歌を歌う。

君はケーキの置かれたテーブルと僕の顔を交互に見る。

歌いながら僕は君と向かいあって座る。

「さぁロウソクに火をともそう」
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