名もない手紙
「神城…舞先輩へ?」
表に書いてある、
ぶっきらぼうな字で
相手への名前。
神城舞先輩。
1つ上の先輩で、
すごく綺麗で人気者。
ピアノやフルートが上手いことで
有名で、学校内でも知られている。
そんな彼女へ宛てた手紙。
「すごい気になる…」
神城先輩がモテるのは知ってる。
だけど、どんな人が告白するのか。
すっごくすごく、気になって。
悪いとは思ったけど。
「見ちゃえ」
ほんの出来心で、
その真っ白な封筒の中身を
見ることにした。
わくわくしていた。
誰だろう。
どんなことを書いてあるんだろう。
ただ、それだけの
軽い気持ちだった。