名もない手紙
教室に、中澤くんが、いつもと
変わらない様子で入って来た。
あたしは1人、
都ちゃんの隣で緊張したまま、
下を向く。
中澤くんの席は1番窓際の
1番後ろで、
あたしの席と反対側。
あたしの席は廊下側の
後ろから2番目で。
朝のHRも、授業中も、
こっそり覗き見をした。
すると、3時間目の途中で、
あたしのあげた封筒を開けて、
手紙を読んでいた。
勝手にドキドキして、
恥ずかしくて顔が赤くなって、
どうしようもなかった。
「菜々子、帰ろ!」
「あ、うん」
廊下から風花に呼ばれて、
急いで鞄を持つ。