異次元バスでGO!
その後も、三本足、針山通り、崖下の腕と、気味悪い停留所が続いた。
停車する場所によって、朝になったり夜になったりする。
一度はなりを潜めた後悔が、ふわふわと膨らんでくる。
どこでも降りたくはならなかった。どのバス停も、不安になるようなとこばかりだ。
佑香は唇を噛んで気をまぎらわせていたが、似た気持ちに苛まれているらしい中学生が声をかけてきた。
「お前は、なんでこのバスに乗ったの?」
「なんでって」
佑香はうつむいた。
五歳下の妹に、大事にしていたガラス細工を壊された。
なのにお母さんは妹を怒らないで、佑香にお姉ちゃんなんだから我慢しろって怒った。
そのくせ、佑香がお母さんの高いブローチを壊してしまったら、めちゃくちゃ怒った。
お父さんがところかまわず屁をこくこと、家がボロい住宅なこと、背が伸びないこと、跳び箱がとべないこと。
理由は、いろいろある。けど……、引き金になったのは、親友だと思ってたマリエちゃんが、佑香が運が良すぎるという意味不明な理由だけで絶交を申し立ててきたことだ。
売り言葉に買い言葉の、大喧嘩になった。
佑香が「バスに乗ってやる、もう二度とあんたとは会わない」と言うと、マリエちゃんは、奇妙に歪んだ笑みを浮かべた。
「やれるもんならやってみなよ。あんたいっつも、口ばっかじゃん。どうせできないんでしょ嘘つき」
昨日までは、ニコニコしていてなんともなかったマリエちゃんが吐いた言葉に、佑香はえらく傷ついた。
悔しくて悲しかった。いろんな小さな嫌なことが一気にすごく嫌になって、もうどうにでもなれ、と感情のままにバスに乗ることを決意した。
そうしゃべると、中学生は馬鹿にしてきた。
「そんな理由かよ」
「あんたよりマシ」
睨んでやったが、バカらしい理由なのは、佑香自身でもうっすらとわかっている。
停車する場所によって、朝になったり夜になったりする。
一度はなりを潜めた後悔が、ふわふわと膨らんでくる。
どこでも降りたくはならなかった。どのバス停も、不安になるようなとこばかりだ。
佑香は唇を噛んで気をまぎらわせていたが、似た気持ちに苛まれているらしい中学生が声をかけてきた。
「お前は、なんでこのバスに乗ったの?」
「なんでって」
佑香はうつむいた。
五歳下の妹に、大事にしていたガラス細工を壊された。
なのにお母さんは妹を怒らないで、佑香にお姉ちゃんなんだから我慢しろって怒った。
そのくせ、佑香がお母さんの高いブローチを壊してしまったら、めちゃくちゃ怒った。
お父さんがところかまわず屁をこくこと、家がボロい住宅なこと、背が伸びないこと、跳び箱がとべないこと。
理由は、いろいろある。けど……、引き金になったのは、親友だと思ってたマリエちゃんが、佑香が運が良すぎるという意味不明な理由だけで絶交を申し立ててきたことだ。
売り言葉に買い言葉の、大喧嘩になった。
佑香が「バスに乗ってやる、もう二度とあんたとは会わない」と言うと、マリエちゃんは、奇妙に歪んだ笑みを浮かべた。
「やれるもんならやってみなよ。あんたいっつも、口ばっかじゃん。どうせできないんでしょ嘘つき」
昨日までは、ニコニコしていてなんともなかったマリエちゃんが吐いた言葉に、佑香はえらく傷ついた。
悔しくて悲しかった。いろんな小さな嫌なことが一気にすごく嫌になって、もうどうにでもなれ、と感情のままにバスに乗ることを決意した。
そうしゃべると、中学生は馬鹿にしてきた。
「そんな理由かよ」
「あんたよりマシ」
睨んでやったが、バカらしい理由なのは、佑香自身でもうっすらとわかっている。