お前だけ。
「…ちが…ッ」
ハッと気づく。
タケが、いるのに。
たった今好きって言ってくれたタケの目の前で否定なんかしたらタケはきっと傷つく。
だけど、違うって言わなきゃ…ッ
「ねぇ、郁ちゃん。タケの事好きなんでしょ?」
京子ちゃんは私が否定出来ない事分かってて聞いてるんだ
だって、顔が笑ってる。
「郁、そうなの?」
違う
違うよ祥ちゃん
私が好きなのは祥ちゃ…
"…好きだよ"
さっきの教室内での出来事が頭に思い浮かんだ
ッ…違うって言ったところで祥ちゃんが好きなのは私じゃないんだよね…
祥ちゃんが好きなのは京子ちゃん。
否定しても祥ちゃんが好きなのは京子ちゃんで、タケが傷つくだけ
だったら―
「…そうだよ」