お前だけ。
―翌日。
「―く!いく!」
「ん…祥ちゃん…?」
「なに寝ぼけた事言ってるの!早く起きなさい!」
「…お母さん?」
「ご飯できてるからね!」
バタン
「……祥ちゃんがいるわけないよね…」
昨日ケンカしたばっかなのに。
「来るわけないか…ッ」
流れそうになる涙を払って支度をし始めた。
―駅。
いつもなら私が寝坊するせいでギリギリに乗る電車も、今日は電車がつく前に来れた。
1人だと…祥ちゃんがいないとこんなにも早く来れるんだ。
ふと、自分が並んでいる列の前の方を見ると、祥ちゃんがいた。
「!ッ」
"もうまとわりつかないから"
だから今日起しに来てくれなかったの?
話すのも嫌なの…?
「ッしょうちゃ…ッ」
呼んでしまいそうになるあなたの名前。
私の涙声はアナウンスでかき消されていた。
『まもなく電車が参ります』
「ッ!」
私はただただ祥ちゃんの後ろ姿を見て泣くしかできなかった。