お前だけ。
「!郁!?」
放課後だからといってもクラスにはまだたくさんの生徒がいた。
それでも私は気にせずに祥ちゃんの前まで行って泣きながら言った。
「ッ祥ちゃんが私を好きじゃなくたっていい!好きになってくれなくったっていいから…ッ離れて行かないでよぉ…!!!」
クラスのみんなは「なんだ、なんだ」と私に注目する。
祥ちゃんは驚いて何も言わない。
「私には祥ちゃんが必要なの!!祥ちゃんが好きなの…ッ祥ちゃんじゃなきゃだめなの…!!」
そう言った直後。
ギュッ
祥ちゃんに抱きしめられていた。
「んだよ…それ…っ」
「ッ…祥ちゃん?」
「お前…タケが好きって言ったじゃんか…っ」
「あれは違…ヒック」
「……郁が好きなのは俺なの?」
コクコクと頷くと、抱きしめられる力が一層強くなる。