お前だけ。
膨れっ面をする私の頬を両手で包み込む祥ちゃん。
「!?」
…まさか!?
ここでまさかのチュ…
「ぶ!!」
祥ちゃんは包み込んでいた私の頬から一端手を離したかと思ったら、勢いよく両頬を同時に叩いた。
当然口の中に空気をこもらせていた私は両頬からの振動で吹き出すわけで。
祥ちゃんはそんな私を見ながら目を細めてくつくつと笑いをこらえていた。
「…ひっっど!!」
「お前…っさっきの顔傑作だよ…っ」
顔が傑作?
ふざけんな!!
「祥ちゃんなんかもう知らない!!」
祥ちゃんはプイッと横を向く私をなだめるように頭をナデナデした。
「くくっ(笑)はいはい、着いたから降りよ。」
私の手を引いて電車を降りた。