ムラサキに 恋をした
放課後
「さゆり〜ん!か〜えろっ」
「萌香、ごめんちょっと用があるんだ」
「あれっそうなの?じゃあお先にぃ〜」
「ごめんね〜」
萌香を見送ってから、席に座っている佐野に近づく
「おう!さっそく聞こうじゃないか」
「…佐野、ノリノリだね」
「まぁな!女子の悩み聞くとか、超優しい男っぽいだろ?」
「…ふざけてんなら帰りますけど」
「んまぁまぁ!座れよ!ハイハイ」
佐野が自分の席の前のイスをぽんぽんと叩いて促す
「…あのね、まあ大したことじゃないんだけど」
「うん」
「人の目が気になってさ」
「人の目?」
「自分がどう見られてるかとか…男子が誰かの噂してると自分の事言われてるんじゃないかとか…」
「それは、多少は誰でも思うことじゃない?」
「でも私の場合それが過剰な気がして」
「過剰?」
「そう。周りを気にしすぎて、本当の自分を出せない」
「本当の自分か…」