僕らの明日の話をしよう
光太は答えない。
ただ黙って、眼下のコートを見ている。
でもその瞳は目の前の試合じゃなくて、もっと過去にあった試合を見ているようだった。
「光太は……また、バスケやりたいって、思ったりしないの?」
気持ちがはやるのを抑えながら尋ねたせいか、声が震えた。
光太はゆっくりと私を見て、笑った。
切ない表情で、小さく。
泣くんじゃないかって、思った。
「綾センパイこそ……大丈夫なの?」
「え……? 私?」
「試合なんて観て。
……バスケに良い思い出なんてないくせにさ」