僕らの明日の話をしよう

◆誠実な男であれ





呼ばれた気がした。


名前を。

大切な人の声で。


まだ起きたくないと渋る瞼を持ちあげる。


徐々にクリアになっていく視界の中、最初に見えたものは、シミひとつない真っ白な天井。

次に、どろりと濃い赤の詰まった輸血パック。


その管は私の左腕に繋がっていて、そしてその向こう側に……。

パイプ椅子に座り、うつむく明るい茶髪が見えた。



「こう、た?」


「……え!?」



バッと頭を上げた光太は、泣きそうな顔で立ち上がる。



「綾センパイ、目ぇ覚めた? ぐ、具合悪いとこない?

うわ、どうしよ! 誰か呼んで来た方がいいの? ナースコールとか押せばいいのかっ?」
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