僕らの明日の話をしよう




土曜。

決勝リーグが行われる高校の体育館に、私は忍くんと来ていた。


観客席はいっぱいだったので、光太に見つからないよう、壁際に立って観戦中。



「綾。見えてるか?」


「うん。大丈夫」


「しんどくないか? 肩車でもするか?」


「なにそれ。絶対いやだよ」



ただでさえ大きいのに、190センチ近い忍くんの肩車なんて、目立ってしょうがない。

ニットキャップにメガネをかけて変装してくれたけど、元々オーラもあるんだから大人しくしててもらわなきゃ。


私もつばの大きいキャップを目深にかぶって、人垣の間からコートを眺める。



「お。第3からあのクソガキ出るんじゃねーか?」



忍くんの言った通り、インターバルが終わると光太が出てきた。

試合中にしか見られない真剣な闘志あふれる顔つきに、キャップの下でこっそりときめく。
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