僕らの明日の話をしよう
PFの鹿島くんと競るように、光太は鮮やかなドリブルでガンガンゴールを狙っていった。
由本くんとパスで繋がった時は、中学の頃に戻ったような錯覚をおぼえる。
フェイクでディフェンスを振って、相手が体勢を崩した所を鋭いドライブで抜き去った。
そのまま光太がシュートを決めたあと、
「ふーん……勿体ないな」
不意に忍くんがそう呟いた。
「勿体ないって?」
「クソガキだよ。思ってたより悪くない」
たぶんこの“悪くない”は、忍くんにとって最上級の褒め言葉になると思う。
光太のことが気に入らないから、素直に褒めたくないのかも。
「悪くないのに、どうして勿体ないの?」
「バスケ2年くらいやってなかったんだろ? その2年が勿体ないってこと。
続けてりゃ、うちからスカウト行ったかもな」
「……そっかぁ」