僕らの明日の話をしよう
午後6時を過ぎた頃。
約束の場所に、ジャージ姿の光太が現れた。
いままで学校で反省会をしていたらしい。
負け試合のあとだけど、光太は疲れや落ちこみなんて欠片も見せない、いつも通りの元気な笑顔だった。
「綾センパイ、寒くない?」
「いっぱい着てきたから大丈夫」
「クリスマス、何にもできなくてごめんね? センパイの誕生日はがんばるから!」
中学校近くの、公園。
誰もいないコートの中、白い息を吐きながら光太はリュックからバスケットボールを出した。
「今日の俺、かっこよかった?」
「……うん。アリウープとか、いつの間に出来るようになったの?」
「あれまぐれ。鹿島先輩にいきなりやれって言われてさ。
自分でも成功すると思わなかったからちょーびびったよ」
やっぱりまぐれだったか。
やれって言う鹿島くんもだけど、それをやっちゃう光太も相当だ。
でも、成功してほんと良かった。
あれで悪い流れを一気に断ち切れたと思う。