僕らの明日の話をしよう
「……安心したよ、光太」
ボールをそっと、投げ返す。
それは2度跳ね、光太の手の中に戻っていった。
「別れよう」
最初から用意していた私の最後のセリフ。
感情を乗せることに失敗したそれに、光太が顔を歪めていった。
「……何の冗談?」
受け取りを拒否され虚しく落ちたセリフに、淡く儚く雪が降り積もる。
心に楔を打ち込むように、落ちたそれを広い上げ、もう一度光太に差しだした。
最後の役目が大好きな、唯一の人を悲しませることなんて。
傷つけることなんて。
ひどいよね。
それを決めた自分自身を恨みながら、私は光太に背を向けた。
さよなら。
ごめんね。
ありがとう。
◆