僕らの明日の話をしよう

「だからって、別れる必要なくない?
一生留学してるわけじゃないんだろ?」



俺は待てる。

いくらでも待てる自信があった。


そんくらい好きだから。


綾センパイじゃなきゃだめだって、俺がいちばんわかってたから。



「何年くらい行くの? つーかどこに留学すんの?
すげー長くかかるなら、俺また追いかけるし。英語苦手だけど、がんばるし」


「光太」


「いまの高校だって、絶対ムリだって担任に言われてたけど受かったし。
だから留学だってイケると思うんだよね。死ぬ気でやれば」


「光太、聞いて」


「いまから必死こいて勉強すればさ! あとバイトして金貯めて……っ」


「光太!!」



綾センパイが、叫んだ。


普段物静かな、俺と正反対に大人しいセンパイが。

泣きそうな顔で叫んだんだ。


そんな顔するくらいなら、別れるなんて言うなよ。


そう言ってやりたかったのに、あの時の俺は言えなかった。
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