僕らの明日の話をしよう

◆君もあきらめないで





夏休みに痛い検査をやった。

検査結果を聞く前から、なんとなく嫌な予感はしてたんだ。



「検査はやはり不可能でした。線維化進んでいますね」



担当医は時刻を告げる自動音声みたいに淡々と言った。



「これから腹部の圧迫感が強まったり、それから食欲不振、体重減少、他にも貧血など全身に様々な症状が出てくるでしょう。
一応資料をお渡ししておきますね。症状が出たらその都度報告してください」



こちらが理解する前に、勝手に話を進めていく担当医を止めたのは、

一緒に検査結果を聞いていたお母さんだった。



「あの、ひとついいですか」


「どうぞ」


「この病気は、治るんですよね……?」



不安を明らかに乗せたお母さんの質問に対しての担当医の答えは、NOだった。

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