秘め事ジレンマ[完]
「氷室君、彼女居たんだ…」
ぽつりと嘉耶が呟くと、不破が咄嗟にカーテンの隙間を塞いだ。
「見たのか…?」
いつもの不破では想像出来ないような、不安そうな声で聞いた。
それを聞いた途端、嘉耶の目から涙が溢れてきた。
「泣くなよ…」
「…違うの…自分の気持ちが、分かんない…」
今、やっと不破の事を知れた気がする。
ずっと、酷い人だと思っていた。
けれど、それは嘉耶の思い違いだったのだ。