ぬくもりを感じて
次の休日、凛花は少し朝寝坊をした。

「ふわぁあああ!」


「おはよう、朝ごはんならそこに用意してあるよ。」


「ぇええええ!!え、遠藤センセェ?」


「うん、来ちゃった。」


「な、なんかキャラ変わっちゃってませんか?
いつも軽めなのはわかってますけど・・・とくに軽いようなチャラいような気がします。」


「そんなことはないと思うけどなぁ。
あっそうだ。
白衣をきてないからかも。
このとおり、私服だから。」


「かなり、カジュアルなんですね。
もしかして、満原先生とおでかけですか?」


「何を好んで満原先生とデートしなきゃならないんだよ。
俺は君を誘いにきたんだ。
そのまえに、家庭訪問だけどね。」


「か、家庭訪問ってこれが・・・ですか?」


「そう。いい家庭訪問だろ。
かわいい生徒のために朝食を用意してあげて、寝起きの顔を眺める。

すてきな朝だろ?」


「すてきな朝って・・・そんなぁ・・・」


「遠藤先生、それ以上、凛花をからかうのは怒りますよ。
それに、朝ごはんの支度をしたのも先生じゃなくて、僕ですから。

しかも何の予告もなくやってきて、寝起きスタイルを見られれば女の子だったら気にするんじゃないですか。」



「凛花ちゃんがもっと色っぽい格好をして寝起きの顔でまどろんでいてくれたら、さすがの俺もどきどきしてしまうだろうけど・・・普通にかわいい高校生でよかった。
ボサボサ髪にかわいいクマさんパジャマだね。」


「着替えてきますっ!」


着替えた凛花は遅めの朝食を遠藤といっしょに食べることになっていた。


「ごめんね~俺も朝食ごちそうになってしまって。」


「いえ、私もひとりで食べてるより楽しいですから。」


「そういってもらえるとうれしいよ。
何か横で怖い目つきでにらまれてるのが気にはなるけどね。

そうだ、食事のあとは映画でも見に行こうか。
ゲーセンでもOKだよ。
体感ゲームはけっこう好きだからね。」


「でも遠藤先生・・・私なんかと休日を過ごしたら、怒っちゃう人がいるんじゃないんですかぁ?」


「怒る人なんていないよ。
俺は大人とはきちんと大人のデートを心がけてるからね。」


「はぁ・・・なるほど。
私は子どもですから・・・ってことですね。
じゃあ、映画を見にいってからゲーセンがいいです!」


「よしっ!
最近、女の子の間で流行ってると有名なヤツ・・・見ようか?」


「恋愛ものですか?」


「いや、スーパーアクション&ハードボイルドなイケメンマフィアな主役だ!」


「おぉぉおおお!面白そうですね。」


「だろ?どうして女の子に人気がそんなにあるのか、俺知りたくてさぁ。」
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