ぬくもりを感じて
翌日の放課後、凛花は坂野の家へと出向いた。

広さは6畳間の部屋とあとは坂野と共同で使うユーティリティ関係という、ありふれた家だった。

坂野は2年前に母親を亡くしてここにひとりになってしまったらしい。

父親は坂野が小さい頃に亡くなったが、あとは遺産を少しずつ切り崩しながら生活してきたということだった。



「どうかしら?せまくて嫌?」


「いえ、かわいくていいお部屋ですね。
それに、先生ん家へもそんなに遠くないし、学校へ通うのにも便利です。」


「じゃあ、決まりね。
これからよろしく。」


「凛花・・・いいのか?
僕は瑞歩と坂野さんがいたところしか見ていない。
2人がどういった付き合いしていたかなんて瑞歩からはきいてないんだ。」


「私の私物はそんなにありませんし、とりあえず、お試しでも住まわせてもらってからでないと文句言えません。

私はここでは、居候してるだけなんですから、泊めていただけるだけでもありがたいです。
もちろん、先生ん家もとても感謝しています。
だけど、それを当たり前のようにしてはいけなかったんです。」


「わかった・・・。学校ではいつもどおりな。」


「はい。今までありがとうございました。」


凛花はすぐに智樹の家にあった自分の荷物を、坂野の家まで運び込んでもらってその日の夜から坂野家で暮らすことになった。


「よろしくお願いします。佳世さん。」


「こちらこそ、よろしくね。
母さんが亡くなってからさびしかったけど、凛花ちゃんがきてくれてうれしいわ。
週末にはちっちゃいけど、パーティーしましょう。

私の友達を呼ぶから、凛花ちゃんもお友達や先生を呼んできて。」


「はいっ!」


凛花は引っ越しでその日の夜は早めに眠りについた。



そして、坂野は電話をしている。

「もしもし、凛花はうちに来たわ。成功よ。
週末にパーティーをすることも伝えたの。
そう、だからみんなに来るように伝えておいて。

じゃ、また連絡するわね。
うちで暮らしていくんだから大丈夫よ。
少しずつ、話していくわ。
まずはお互いを知るところから・・・ってね。」
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