ぬくもりを感じて
翌日からも学校では智樹が生徒からも先生からも追いかけられている姿を凛花はよく見かけるようになった。


そして、お昼休みになると、保健室にげっそりした智樹と笑っている遠藤がいた。


「よぉ!住まいが変わったらしいな。」


「はい、学校の中を見ていても満原先生の家を出て正解だったと思います。」


「そうだな・・・兄貴の彼女か元カノかの家も不審なところはあるけど、アパートの大家さんだと思えば関係ないだろうしな。

で、その彼女は美人かな?」


「たぶん、美人の側に入ると思います。」


「そっか、じゃあ週末パーティーは俺も出席な。」


「先生、よくパーティーのこともご存じなんですね。」


「満原先生のとこには招待状がきてるらしいからな。」


「招待状があったんですか?」


「ああ、坂野さんが知り合いとか君の親しい人に渡してほしいって言われたんだ。」


「そうなんだ・・・。満原先生にだけ招待状の束ねぇ・・・?
私の友達は当日もOKの声かけだけなんて。
なんか不思議。」



そして、週末になり、予定通りのパーティーが行なわれた。


「お料理とかどうするのかと思ったら、佳世さんの勤務先がパーティーやイベントの会社だったんですね。
おしゃれなケータリングや飾り付けで、朝からプロの人があっというまにやっちゃうなんて!」


「驚いた?こんな普通の家でも、こじんまりと楽しいパーティー会場になるのよ。」


「先生に渡しておられた招待状もきちんとしていて、どうしたのかと疑っていたんです。
やっと納得できました。」


「うちの会社のスタッフを紹介するわ。
マネージャーの唐崎さん、食事担当の水野、お花担当の朝風くん。
主にこの3人が私とチームを組んでるからよくうちにも出入りしてるの。」


「そうなんですか・・・。」


「坂野さんちの居候ってどんなヤツかと思ってたけど、かわいい妹って感じだね。
仕事以外でもちょくちょく寄らせてもらうからよろしくね。」


「えっ?」


「こら、朝風くん!いきなり凛花ちゃんをみてナンパなの?」


「えっ・・・ナンパ?」


「ほら、困ってるじゃないの。未成年なんだから、変なこと言ってこないでよ。
凛花ちゃんも先生を連れてきたんでしょ、紹介してくれないかな?」


「あ、はい。先生は今日は2人だけなんです。
あっちのグレーのスーツなのが遠藤先生で、こっちの紺のスーツなのが満原先生。
お兄ちゃんのお友達で学校でとくに人気がある先生です。」


「人気あるでしょうね。うちの水野も満原先生がタイプみたい。
後をついて歩いてるわ。」


「佳世さんは唐崎さんと今は付き合っておられるんですか?」


「へっ?唐崎さんは上司だけど。」


「だって、佳世さんのことを熱い眼差しで見つめていたから・・・。」


「そ、そんなことないわよ。」
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