ぬくもりを感じて
凛花は少し違和感をおぼえていた。

本人は否定していたが、唐崎康介というマネージャーは坂野佳世に熱い視線を向けているのは確かだ。

だったら兄、瑞歩は佳世が好きなら放ってはおかないんじゃないかと・・・。



「よぉ、元気でやってるか?
って、昨日も見たけどさ。」


「遠藤先生!、満原先生といっしょにきてくれたんですね。」


「ああ、きれいなチケットまでいただいて無視するわけにはいかないだろ?
しかし、普通の家でも庭と家とをうまく使えば立派な会場だなぁ。」


「でしょう!私も知ったばかりなんだけど、坂野さんってイベント会社でこんなふうにいろんな会場を飾っているんだって。」


「へぇ。」


「そのわりには、瑞歩のヤツが僕を誘いに来ることはなかったなぁ。
見た目が悪かったからだろうか?」


「そんなことはないと思う・・・たぶん・・・。」



凛花はなぜかそう智樹に返事していた。

(お兄ちゃんは明るくて面白いもの好きなのに、彼女の企画したパーティーとか出ないわけがないわ。
それに唐崎マネージャーは坂野さんを特別視している。
じゃあ、どうして・・・私と同居してほしいなどと言ったのかしら?)



「凛花さまぁ!」


「あっ、よねさん!」


「急に家を出ていかれてしまって、ぶんさんとさびしいって言ってたんですよ。」


「ごめんね。だけど、私は智樹さんと兄妹とか親戚じゃないし、やっぱりそちらにいるべきじゃないような気がして。

もし、今の先生といっしょに暮してるのがバレちゃったらまずいでしょ。いろいろと・・・。」



「それが、智樹さまも今はお邸にはもどられなくなって・・・建物管理はぶんさんがしてて、私はまた解雇された状態です。」


「えっ・・・どうして?」


「だって、お世話する人がいないですし。」


「先生は?」


「アパートで独り暮らしされておられます。
以前、凛花さまが来られる前もそうでしたから。」


「そんなぁ。
よねさんはさびしくない?」


「そりゃ、さびしいですよ。
智樹さまと凛花さまとのおやつやお夕飯のお世話の時間がとっても楽しかったですから。

私の個人的希望を言っちゃうと、凛花さまが智樹さまとご結婚されるとずっと楽しいだろうなって思ってたくらいですもの。」


「ちょ、ちょっと待って。
それはちょっと飛躍しすぎだよぉ。
だって先生とは年も離れてるし・・・私はまだ16だし・・・。」


「愛があれば年の差は関係ないですってば。」


「よ、よねさん?
それ、すごい追っ付けだから・・・それに先生だって見た目がよくなったから、もう少ししたら彼女がいっぱい押し寄せてくるんじゃないかしら?」


「嫌ですよぉ。押しかけてくる連中なんて。
マナーもへったくれもありゃしない。」
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