ぬくもりを感じて
よねさんの話では以前、智樹が学校のアイドルといわれた頃には毎日のように女性が訪ねてきたことがあったらしい。

しかし、台所や居間、そしてトイレなどを汚し放題で片づけて行く人などいなかったという。


「それはひどいねぇ。
いったい、何をしにやってきてたのかしら?」


「当然、智樹さまの部屋に入り浸っておられましたよ。」


「入り浸って何をするの?」


「えっ・・・だから、それは・・・その・・・男女のことだから・・・凛花さまにはお話しづらいことで。」


「はぁ・・・」


「満原先生も若かった頃があったってことだよ。」


「遠藤先生!どこへいってたんですか?」


「大家さんにご挨拶をね。
確かに、美人さんだね。」


「でしょ。あれ・・・満原先生は?」


「あいつはさっき、イベント屋のおねえちゃんたちにつかまってたから、どっかにいるんじゃないかな。」


「つかまってるんですか?」


「そりゃ、見た目いいからね。」


「あらら・・・。遠藤先生はつかまらなかったんですか?」


「俺はほら、断る術もきちんと知ってる紳士だからさ、適当に遊んで適当に飲んで、適当なところで帰るだけさ。」


「すごいですね。
でも、今日は満原先生も連れて帰ってあげてくださいね。
満原先生は適当がむずかしいみたいだから・・・」


「そんなに気になるんだったら連れて帰ってやればいいんじゃない?」


「だ、だめですよ。もし、途中で知ってる人に会ったら困っちゃうじゃないですか!
それに、今日は私がここに住むことになったからっていうパーティーだし、いちおう私が主役みたいなものなので・・・。」


「まぁいいけど・・・気をつけろよ。」


「えっ?」


「さっきチラと小耳にはさんだ話なんだけどな、おまえの持ち物に興味のあるやつが多そうだぞ。」


「私の持ち物ですか?なんのことでしょう?」


「さぁわからん。このイベント会社のヤツらはおまえの持っている何かにひかれているらしいというのまではわかった。

つまり・・・大家さんとおまえの兄貴のつながりはないかもしれない。」


「遠藤先生・・・それ・・・他には?」


「言ってない。もし、もしだぞ・・・おまえが何か取られて困るものを持っているなら、悪いことはいわないから満原先生を送っていくフリでもして、ここを出ろ!」


「わからない・・・とられて困るようなものなんて私持っていません。」


「なら、べつにいいんだが・・・。(でも確かに、イベント屋のやつらは資料みたいなものを探している。)」
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