ぬくもりを感じて
智樹の兄の満原大樹は智樹より2つ上の30才独身。
だが、花嫁候補は2人いて、どちらも甲乙つけがたいので結婚はまだしていないらしい。
智樹と凛花は大樹からマンションの鍵を受け取ってマンション内を見にきてみた。
「智樹さんのお兄さんってどっちの女性が好みだとか言わないの?」
「ああ。あの人にとって候補は家柄と、家庭にもたらす利益だけの存在だ。
うちの両親もそういう政略結婚だったが、母は父にかなりつくした女だったときく。
そして、僕が大学生のときに亡くなった。
ひとり残った父は当時、兄さんが付き合っていた女性と兄さんを別れさせて兄さんを後継ぎにしたときいている。
そういうひどい男なんだ。」
「智樹さんは何も継がなかったんですか?」
「僕はそういう家が大嫌いでね。だから今・・・ほとんどは自分の給料で借りてるアパート住まいしてる。」
「じゃ、あのお邸は?」
「あれは・・・あの家は・・・母さんの実家なんだ。」
「お母様の?」
「マザコンだって笑うかな?
母は優しい人だった。ずっと昔、あの家で家族みんなで笑って晩餐してたことがあった。
ほんの少しだけの家族の時間だったけれどね。
けど、父にとっては会社も大きくしなきゃいけない時期だったんだろう。
母が亡くなってから仕事に対してどんどん冷酷な人間になっていった。
兄さんの恋愛もぶち壊し、いつのまにか瑞歩までも・・・仕事に引き込んでいたなんて知らなかった。」
「智樹さんが謝らないでよ。
兄さんが大樹さんの仕事を手伝っていたってわかっただけでもよかったわ。
両親の死んだ真相なんていうから、事故じゃなくて殺人事件だったのかなってびっくりしてたけど、大樹さんが警察の調書どおり、悪質ドライバーの起こした事故だって言いきってくれてホッとしたところもあるの。
それにセキュリティのいいこんなマンションまで用意していただいて、とってもうれしいわ。
よねさんもきてくれるなら、なおさらね。」
「なぁ・・・いつもはまずいかもしれないけど、あの邸に・・・母の実家でもあった家にときどきでいいからよねさんと来てくれないかな。」
「えっ?」
「いろいろややこしいことになってしまって、住むところを変えてしまったけれど、僕は君がきてくれてた時が楽しかった。
瑞歩に妹がいるのがうらやましいというか・・・僕には下がいないから、何かやってあげたいというか。
あ、無理にとはいわないし・・・僕にかかわりたくないっていうなら仕方がないけど。」
「喜んでおじゃまします!
だって、私・・・お料理とかぜんぜんまだできないんだもん。えへへ」
「あーーー!それがいちばん心配だったんだ。
料理とか失敗しまくってるんじゃないかって。
よねさんもいないんじゃ、台所がどうなってるのかって・・・。」
「坂野さんがほとんど作ってくれてたし、お仕事で忙しいときは会社のケータリングにきてもらったりしてたから大丈夫でした。
でも、正直いうと、先生の作ったゴハン食べれなくてさびしかった。」
「こいつ!
よぉーーし、そんなにいうなら、マンションへの引っ越しをさっさとやって晩メシは僕が作ってやるよ。」
「やったぁ!!」
だが、花嫁候補は2人いて、どちらも甲乙つけがたいので結婚はまだしていないらしい。
智樹と凛花は大樹からマンションの鍵を受け取ってマンション内を見にきてみた。
「智樹さんのお兄さんってどっちの女性が好みだとか言わないの?」
「ああ。あの人にとって候補は家柄と、家庭にもたらす利益だけの存在だ。
うちの両親もそういう政略結婚だったが、母は父にかなりつくした女だったときく。
そして、僕が大学生のときに亡くなった。
ひとり残った父は当時、兄さんが付き合っていた女性と兄さんを別れさせて兄さんを後継ぎにしたときいている。
そういうひどい男なんだ。」
「智樹さんは何も継がなかったんですか?」
「僕はそういう家が大嫌いでね。だから今・・・ほとんどは自分の給料で借りてるアパート住まいしてる。」
「じゃ、あのお邸は?」
「あれは・・・あの家は・・・母さんの実家なんだ。」
「お母様の?」
「マザコンだって笑うかな?
母は優しい人だった。ずっと昔、あの家で家族みんなで笑って晩餐してたことがあった。
ほんの少しだけの家族の時間だったけれどね。
けど、父にとっては会社も大きくしなきゃいけない時期だったんだろう。
母が亡くなってから仕事に対してどんどん冷酷な人間になっていった。
兄さんの恋愛もぶち壊し、いつのまにか瑞歩までも・・・仕事に引き込んでいたなんて知らなかった。」
「智樹さんが謝らないでよ。
兄さんが大樹さんの仕事を手伝っていたってわかっただけでもよかったわ。
両親の死んだ真相なんていうから、事故じゃなくて殺人事件だったのかなってびっくりしてたけど、大樹さんが警察の調書どおり、悪質ドライバーの起こした事故だって言いきってくれてホッとしたところもあるの。
それにセキュリティのいいこんなマンションまで用意していただいて、とってもうれしいわ。
よねさんもきてくれるなら、なおさらね。」
「なぁ・・・いつもはまずいかもしれないけど、あの邸に・・・母の実家でもあった家にときどきでいいからよねさんと来てくれないかな。」
「えっ?」
「いろいろややこしいことになってしまって、住むところを変えてしまったけれど、僕は君がきてくれてた時が楽しかった。
瑞歩に妹がいるのがうらやましいというか・・・僕には下がいないから、何かやってあげたいというか。
あ、無理にとはいわないし・・・僕にかかわりたくないっていうなら仕方がないけど。」
「喜んでおじゃまします!
だって、私・・・お料理とかぜんぜんまだできないんだもん。えへへ」
「あーーー!それがいちばん心配だったんだ。
料理とか失敗しまくってるんじゃないかって。
よねさんもいないんじゃ、台所がどうなってるのかって・・・。」
「坂野さんがほとんど作ってくれてたし、お仕事で忙しいときは会社のケータリングにきてもらったりしてたから大丈夫でした。
でも、正直いうと、先生の作ったゴハン食べれなくてさびしかった。」
「こいつ!
よぉーーし、そんなにいうなら、マンションへの引っ越しをさっさとやって晩メシは僕が作ってやるよ。」
「やったぁ!!」