ぬくもりを感じて
遠藤はブルーの入った金髪のウィッグをつけ、コンタクトをはずした。


「セルジュ・・・!セルジュ・リラ・カーリン。
あなたが、遠藤先生に・・・!」


「じつは、君のご両親から、自分たちの身の上に何かあったらかばってやってほしいと頼まれていた。
でも、頼まれたときには俺は足にけがを負っていて走ることもできなかった。

だから、日本には車椅子でやってきたんだ。
そして、療養かねて、ここに入れてもらった。」


「でも、私は・・・お兄ちゃんを訪ねて、いなくて、満原先生のところでお世話になってしまって。
それじゃ、もっと早く、セルジュだと名乗ってくれればよかったのに。」


「もう俺の使命は終わったんだ。
俺は君を主に守ることはできない。

それに、君は大切なことを忘れてくれているしな。
そのまま思い出さない方が君のためだしな。
この国のためにもなるはずだ。」


「両親は殺されたのね。
私が考え出した爆弾のせいなの?」


「君は昨日、拉致されたときのことを覚えていたのか?」


「ええ。忘れるように注射されたけれど、じつは私はたいていの注射の効果はないの。
ガスをかがされたり、殴られたりすれば気絶して記憶操作されたりするんだけどね。」


「そうか・・・ずっと居たのに俺がわかってなかったんだな。ふふっ
結論から言わせてもらうと、記憶のない君、これからの君を守るのは満原先生の役目だから。」


「えっ??満原先生はどういう関係があるの?」


「喜ばしいことかどうかはわからないけど、今言えることは、君は爆弾の安全装置のことや小型爆弾のことは覚えていないということ。

ご両親は設計図というか、作り方を持っていると間違った情報がとびかったせいで、殺された。
そのとき、じつは君と俺も狙われて殺されかけたんだ。

なんとか君だけ脱出させることに成功して、君の兄さんと連絡をとった。
君の兄さんは満原大樹の研究室にいたんだが、アメリカの君の研究してまわった場所を点検するためにアメリカへ行ったんだ。
もちろん、ご両親の死についての詳細も調べにね。

でも、俺は足を負傷して、ボディガードとしてはやっていけなくなって・・・満原大樹にすがった。

そうしたら・・・大樹の返事を待たずに、智樹が君を守りたいと言いだしたんだ。」



「どうして・・・智樹先生が?」


「そこから先は僕が説明してあげよう。」
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