ぬくもりを感じて
文化祭でのアクシデント
高校2年の秋・・・文化祭の季節がきた。


最近は凛花の身の回りも平穏で、やっと学園生活にも慣れて過ごしていた。


凛花のクラスでは喫茶店を受け持って、女子はメイド服、男子は執事姿で応対していた。


「ひゅ~~~!びっくりしたなぁ。凛花ちゃんがそういう格好できる子だったなんてさ!」


「遠藤先生!うちのクラスの女子を見つけると、おんなじこと言ってるでしょう。
ダメですよ。
先生がいくら誘惑しても、学校側が許しませんからねっ!」


「いいじゃないか。なかなか目の保養にもなる。
それに、俺はメイド服きてる子みんなを口説いてるわけじゃないよ。

褒めてあげてるだけさ。
でも・・・凛花ちゃんは口説いてもいいかなぁ。」


「へっ!?」


「思っていたより立派なバストをしてるから、感心しちゃってさ。
専属でボディガードしてあげようか。」


「いいえ、結構ですから。
それに過去の専属ボディガードはもうつけられないでしょうからねっ!」


「痛いなぁ。足を負傷したセルジュがきいたら泣くと思うなぁ。」


「ごめんなさい。冗談にならないですよね。」


「そうだね・・・。でもほら、俺は今は遠藤浩太郎先生だから。
俺を飼ってくれてるご主人とも切れてしまったから、自由だよ。

ってことで君の豊満なバストを守る専属ボディーガードとして立候補することができる!」


「ぷっ、あははは。その専属ボディーガードならいいかも。」


「そうだろう、俺がいるだけで、スケベそうな顔をした男が君には寄って行かないんだ。」


「じゃあ、僕は思いっきりスケベそうな顔をしてそこのメイドさんにコーヒーを注文することにしようか。」


「へっ!?」


「満原先生!遠藤先生との会話を全部きいちゃってたんですか?」


「うちのクラスの生徒が紙でちょっと手を切ってしまったから保健室に行ったんだが、遠藤先生がいなくて、捜してたら・・・ここでボディガードなんてやってたものだからね。
できればけが人の処置をきちんとしてほしいんだけどなぁ。」


「ちぇっ、任務か。凛花ちゃん、専属ボディガードちょっと抜けるわ。」


「はい、任務がんばってくださいね。」


苦笑いしながら右手をふりながら遠藤は小走りで保健室へもどっていった。



「そろそろ、今日は終わるけど、明日もここで店をやるのか?」


「いいえ、明日の私の担当は、執行部の人たちのお手伝いで、受付しながらパンフレットを配る係です。」


「劇とか合唱とかのグループには入らなかったのかい?」


「考えましたけど、遠藤先生が、消えた記憶が突然もどったりしたら私にとっては大変だから、やめておいた方がいいって・・・。」


「そうだったのか・・・記憶がもどらないのは不安なんだね。」


「わかりません・・・でも遠藤先生は知ってるみたいなの。でもそれは教えられないって・・・。」



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