ぬくもりを感じて
講堂の舞台のそでで、凛花は箱の中に入って準備をした。
日下も自分の出番を待っている。
一旦、照明が消え、眠っている凛花と小人役のメンバーの用意がされる。
そして、照明がまたついて、ついに王子が姫にキスで起こすシーンが始まった。
会場全体からワァーっと声があがり、王子役の日下勝真が凛花の唇に顔を赤らめながらチュッとキスをした。
凛花は会場の騒ぎに気をとられて、日下が一度キスシーンをしてしまったことに気がついていなかった。
目を覚ましているはずが、まだ目を覚まさない様子に、日下も少しあせって、2度目のキスをしてわかるように指で凛花の唇をなぞった。
「あっ・・・」
「姫、やっと目覚めてくれましたね。毒りんごの魔法は解けました。
私と結婚してくださいますか。」
「は、はい。」
会場は歓声があがり、小人役たちの喜びの踊りで幕を閉じた。
部室にもどってきた凛花に、小人役の部員たちが言った。
「木吹さんが最初のキスで目を覚まさないんだもん。びっくりしたよ。」
「でもいいじゃないか、2回目はしっかとやってたんだからな。」
「2回目って・・・?」
「だから、1回目に日下が照れながらキスしてるのにぜんぜん君が気がつかなくてさぁ。
それで咄嗟に、日下が君が寝てるか、わかってないんじゃないかって機転をきかせて2回目のキスをしたんだよ。
2回目はしっかと感触あっただろ?」
「えっ!?感触・・・って?シートは?」
「してなかったみたいだけどなぁ。日下にきいてみなよ。」
凛花は驚いて、衣装を脱いでから日下のところへ行ってみた。
「日下くん、私・・・会場があまりに騒がしくて1回目がわかんなかったの。」
「やっぱりそうだったんだ。俺、びっくりしたけど2回目はわかってくれたからよかったよ。
それより、俺・・・謝らないと。
1回目は軽く触れるか触れない程度にしたんだけど、気がついてもらえなかったから、2回目はかなりブチュッとしてしまって・・・このとおり唇に君の口紅がついてしまって。
ごめん!咄嗟になんとか気づいてもらおうと思って・・・ほんとにごめん。」
「あ・・・いいのよ。
気付かなかった私がダメだったんだから。
それに、2回目は日下くんがキスのあとで指で突っついてくれたでしょ。
お芝居をぶち壊さなくてよかったもの。
私こと鈍感でごめんね。
じゃ、私、受付の片付けをして帰るから・・・さよなら。」
「あ、ありがとう。木吹・・・あのさ、今度の休みにでも、俺がおごるからランチつきあわないか?
お礼がしたいんだ。」
「うん、まぁ、そんなに気にしなくていいから・・・じゃあね。」
日下も自分の出番を待っている。
一旦、照明が消え、眠っている凛花と小人役のメンバーの用意がされる。
そして、照明がまたついて、ついに王子が姫にキスで起こすシーンが始まった。
会場全体からワァーっと声があがり、王子役の日下勝真が凛花の唇に顔を赤らめながらチュッとキスをした。
凛花は会場の騒ぎに気をとられて、日下が一度キスシーンをしてしまったことに気がついていなかった。
目を覚ましているはずが、まだ目を覚まさない様子に、日下も少しあせって、2度目のキスをしてわかるように指で凛花の唇をなぞった。
「あっ・・・」
「姫、やっと目覚めてくれましたね。毒りんごの魔法は解けました。
私と結婚してくださいますか。」
「は、はい。」
会場は歓声があがり、小人役たちの喜びの踊りで幕を閉じた。
部室にもどってきた凛花に、小人役の部員たちが言った。
「木吹さんが最初のキスで目を覚まさないんだもん。びっくりしたよ。」
「でもいいじゃないか、2回目はしっかとやってたんだからな。」
「2回目って・・・?」
「だから、1回目に日下が照れながらキスしてるのにぜんぜん君が気がつかなくてさぁ。
それで咄嗟に、日下が君が寝てるか、わかってないんじゃないかって機転をきかせて2回目のキスをしたんだよ。
2回目はしっかと感触あっただろ?」
「えっ!?感触・・・って?シートは?」
「してなかったみたいだけどなぁ。日下にきいてみなよ。」
凛花は驚いて、衣装を脱いでから日下のところへ行ってみた。
「日下くん、私・・・会場があまりに騒がしくて1回目がわかんなかったの。」
「やっぱりそうだったんだ。俺、びっくりしたけど2回目はわかってくれたからよかったよ。
それより、俺・・・謝らないと。
1回目は軽く触れるか触れない程度にしたんだけど、気がついてもらえなかったから、2回目はかなりブチュッとしてしまって・・・このとおり唇に君の口紅がついてしまって。
ごめん!咄嗟になんとか気づいてもらおうと思って・・・ほんとにごめん。」
「あ・・・いいのよ。
気付かなかった私がダメだったんだから。
それに、2回目は日下くんがキスのあとで指で突っついてくれたでしょ。
お芝居をぶち壊さなくてよかったもの。
私こと鈍感でごめんね。
じゃ、私、受付の片付けをして帰るから・・・さよなら。」
「あ、ありがとう。木吹・・・あのさ、今度の休みにでも、俺がおごるからランチつきあわないか?
お礼がしたいんだ。」
「うん、まぁ、そんなに気にしなくていいから・・・じゃあね。」