ぬくもりを感じて
受付の片付けをして、正門近くの掃除を終えた凛花は自分のクラスに鞄を取りに来て、マンションへと帰った。
そして、着替えをしてベッドに倒れこんでいた。
「疲れた・・・。」
(いきなりキスを2度も受けるなんて・・・。)
凛花がいい匂いに気付いて、目をあけると、台所でジュージュー音がしている。
「よねさん、来てくれたの?」
「お疲れさん、精神的に疲れたろう。
すぐ、夕飯してやるからな。」
「ちょ、ちょっと・・・智樹さんどうして・・・?」
「きっと眠れなかったのと、今日の疲れとで倒れてるんじゃないかと思ってさ。
あ・・・僕は謝らないからな、恋人のキスをしたこと。
先にしておいてよかったと思ってる。
じゃなかったら・・・きっと日下を今日は殴ってたかもしれないから。」
「どうして?智樹さんが演劇部のことを私に話したのに。」
「君はそんな役、引き受けないと思ってたから。
日下ひとりじゃできないから、台本を書きかえるんだとばかり・・・思ってた。
それが今日、いきなり部室に現れてさ・・・どれだけ僕が驚いたかわからないだろう?
とにかく、先に食べなさい。」
夕飯を食べていくらか冷静になった凛花だったが、智樹の近くには寄らなかった。
「私・・・日下くんと2度もキスしたらしいの。
シートもなにもなく、普通に唇どうしでキスしたの。
でも、お芝居できちゃった。
会場があんなに騒いでたのに・・・指でなぞられて、あわてて芝居の続きをしたの。
どきどきしたり、足が思うように動かなかったり、苦しくなったりしなかったわ。」
「今、僕と差向いに座ってるだけでどきどきしてるんだね。」
「私は何にも・・・言ってませんけど。」
「僕はどきどきしてるよ。こんなことは最近までなかったんだ。
去年は、瑞歩が羨ましくなることが多かった。
妹がいたらこんなにかわいいんだなぁって、感心してしまうことが多かった。
でも君の担任でなくなって・・・遠藤先生と君が楽しそうにしゃべっているのを見るのも嫌になってきた。
遠藤先生が元ボディガードのセルジュだとわかっていても、許せなくなってしまった。」
「それ以上言わないでください。
私はまだ記憶がすべてもどったわけじゃないんです。
安全装置と小型爆弾のところがどうしても思い出せない・・・。
そのせいで、両親も兄さんも私の前からいなくなったというのに。
思い出したいのに・・・思い出せない。
もう1年たつのにまだ、わからないなんて私は無意識に思い出したくないことなんだわ。
だから、そんな娘のことなんて、放っておいてください。」
そして、着替えをしてベッドに倒れこんでいた。
「疲れた・・・。」
(いきなりキスを2度も受けるなんて・・・。)
凛花がいい匂いに気付いて、目をあけると、台所でジュージュー音がしている。
「よねさん、来てくれたの?」
「お疲れさん、精神的に疲れたろう。
すぐ、夕飯してやるからな。」
「ちょ、ちょっと・・・智樹さんどうして・・・?」
「きっと眠れなかったのと、今日の疲れとで倒れてるんじゃないかと思ってさ。
あ・・・僕は謝らないからな、恋人のキスをしたこと。
先にしておいてよかったと思ってる。
じゃなかったら・・・きっと日下を今日は殴ってたかもしれないから。」
「どうして?智樹さんが演劇部のことを私に話したのに。」
「君はそんな役、引き受けないと思ってたから。
日下ひとりじゃできないから、台本を書きかえるんだとばかり・・・思ってた。
それが今日、いきなり部室に現れてさ・・・どれだけ僕が驚いたかわからないだろう?
とにかく、先に食べなさい。」
夕飯を食べていくらか冷静になった凛花だったが、智樹の近くには寄らなかった。
「私・・・日下くんと2度もキスしたらしいの。
シートもなにもなく、普通に唇どうしでキスしたの。
でも、お芝居できちゃった。
会場があんなに騒いでたのに・・・指でなぞられて、あわてて芝居の続きをしたの。
どきどきしたり、足が思うように動かなかったり、苦しくなったりしなかったわ。」
「今、僕と差向いに座ってるだけでどきどきしてるんだね。」
「私は何にも・・・言ってませんけど。」
「僕はどきどきしてるよ。こんなことは最近までなかったんだ。
去年は、瑞歩が羨ましくなることが多かった。
妹がいたらこんなにかわいいんだなぁって、感心してしまうことが多かった。
でも君の担任でなくなって・・・遠藤先生と君が楽しそうにしゃべっているのを見るのも嫌になってきた。
遠藤先生が元ボディガードのセルジュだとわかっていても、許せなくなってしまった。」
「それ以上言わないでください。
私はまだ記憶がすべてもどったわけじゃないんです。
安全装置と小型爆弾のところがどうしても思い出せない・・・。
そのせいで、両親も兄さんも私の前からいなくなったというのに。
思い出したいのに・・・思い出せない。
もう1年たつのにまだ、わからないなんて私は無意識に思い出したくないことなんだわ。
だから、そんな娘のことなんて、放っておいてください。」