ぬくもりを感じて
食事が終わると、よねさんが学校の制服、私服、学校へ提出する書類、教科書、ノート・・・その他、明日からのとりあえずの用意をすべて部屋へ用意してくれた。


「わぁ、すごいね。今日やってきて、住まわせてもらうだけでもご迷惑なのに、学校の手続きがもうできちゃってる!」


「そりゃ、早いですよ。大樹ぼっちゃまの学校ですから。」


「大樹ぼっちゃま?って・・・もしや智樹さんのお兄さんの?あの?」


「はい、大樹様は満原コンツェルンの総裁ですし、花霧高校の理事長もされておられます。」


「り、理事長ですってぇ!!会社も学校も経営してるの?」


「最近、代替わりしたんです。
旦那様の心臓の調子がお悪くて・・・。」


「すごいお金持ちなのは当たり前なのね。
だけど、私学なんて高いじゃない!私・・・お兄ちゃんから送金してもらわないと、払えないわ。」


「大丈夫です。
他の高校をお選びになるより、花霧を選んでいただいた方が当家としましては安上がりなんです。」


「身内割引ってことかしら?
でも智樹さんって垢ぬけない生物の先生って感じじゃない?
学校にひとりはいる感じのもっさりくん?」


「智樹さんがもっさりくんなんてひどいですよ。
趣味によっては大樹さまより、男ぶりの良い方ですって。」


「そ、そうなの・・・まぁ、風貌があれじゃね~
素地がよくても不潔感でダメだわ。」


「まぁ、そんなひどいこと言ったら・・・」


「だいじょぶだいじょぶ、いないから好きなこと言えるわ。」



と、そのときドアの外で声がした。


「おい、ちょっといいか。明日のことなんだけどな・・・」


「きゃぁ!!!」


「だから言わんことない・・・凛花お嬢様!」


「ご、ごめんなさい!」


「な、何のことだ?」


「ぷっ、あの、私は仕事を仕上げて帰りますので、また明日。
ふふふっ」


「はい、いろいろありがとうございました。
あ、すみません、お待たせしちゃって。
何でもありません、明日はどきどきするなぁっと思って。」


「明日、知るのも何なので・・・伝えておくが。
君は、僕のクラスだから。」


「えっ・・・はぁ・・・?
僕のクラスって・・・私の担任ってことですかぁ?」


「そう。1年はきってしまったが、担任によって1年間影響はあると思うから、明日急なショックを受けないように言っておく。

僕が君の担任だからな。」


「ってことは・・・今夜が智樹さんと顔を合わせる最後ってことですか?」


「なんでそうなる?」


「違うんですか?1年間影響とか何とか・・・ショックを受けるとか」



「そういう意味じゃなくて、明日学校で、僕がいきなり担任だとわかったら、どういう行動をとったらいいかとか困るだろ?っていう意味で。」


「いえ、まぁわかっていればいいですけど、先生にときめいてるわけでもないので、学校でもよろしくお願いしますってことで。」


「やけにクールだな。」


「そうですか?私には選択肢がないんですから、いちいち驚いてなんかいられないです。
御用はそれだけですか?

私、明日にそなえて、もう寝ますから。」


「悪い、疲れてるとこすまなかった。
じゃ、明日からよろしくな。おやすみ。」
< 5 / 60 >

この作品をシェア

pagetop