ぬくもりを感じて
凛花が目を覚ますと、心配そうな顔をした日下が付き添っていた。

「あれ・・・私。どうして・・・」


「ごめん!木吹さん、俺の罰ゲームのせいで、転校してきていきなりこんな目にあわせてしまって。
俺、決して君になすりつけてやろうなんて思ってなかった。
俺はカエルは嫌いじゃないし、あいつらのシャレのつもりでっていうのはわかってたし、ほんとにたまたまあのとき、俺の名前が書いたプリントが君の机にいってしまって・・・。

ああ、こんなの言い訳だよなぁ・・・ごめん、ほんと、ごめん!」



「えっと・・・お名前は日下・・・くん?」


「おお、俺は日下勝真(くさかかつま)はずかしいけど17才。
中学でちょっと暴れててさ、1年だぶっちまった。」


「今、授業中なのにいいの?ここにいても?」


「おお、教室にいても授業なんてわかんないしさ。先生に木吹さんが気がつくまで付き添いたいっていったら補修してくれるって言ってくれたから。

あ、君もいっしょに補修受けられるから。」


「えっ?そうなの・・・。」


「受けないと困るだろ?
それに、習うところがここより遅れてたら大変だ。」


「う、うん。そ、そうだよね。(どうしよう・・・私が高校の授業くらいとっくに終わってるなんていえないわ。)」


「あのさ・・・こんなとこで言うのもなんだけど・・・友達になってくれない?
俺、友達少ないし・・・女の子の友達なんていないんだけど、凛花ちゃんって呼んでもいいかな。」


「えっ?
私まだ日下くんのこと何も知らないし・・・私は名前でなんて呼べないし・・・。」


「あ、いいんだよ。俺はどう呼んでもらっても。
それに俺、いきなり彼女になってくれなんて頼んでないよ。

とりあえず、友達になってほしいだけなんだ。だめかな?」


「友達・・・あっ。ああ・・・フレンドの方ね。
うん、友達ならいいよ。」



「やった!ガールフレンドができた。
俺みたいなバカな男に、優秀そうな君が友達になってくれたなんて夢のようだよ。」


「あ、よろしくね・・・。(優秀そうなって何よ。私は先生たちより優秀のはずなのに。)」



ガラッとベッドの前のカーテンがあけられると知らない男の先生が笑顔で顔を出した。


「転校してきた早々、異性の友達ができてよかったね。といいたいとこだけど・・・もうすぐ次の授業が始まるから2人ともそろそろ教室にもどりなさい。

ちなみに俺は遠藤幸太郎(えんどうこうたろう)。見た通りの養護の先生だよ。
怪我をしたり、体の調子が悪い時には頼ってくれな。」


「は、はい・・・ご迷惑おかけしてすみませんでした。」


「いえいえ。なかなかお行儀のいいお嬢さんだ。
木吹凛花さん・・・覚えたからね。おだいじに。」
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