ぬくもりを感じて

慌てながら次の国語の授業を受け、昼休みになると凛花のまわりには女の子が集まってきた。


「いきなり、カエルが飛び出したりして大変だったね。」


「失神しちゃうんだもん、びっくりしたよ。」


「ごめんなさい。私もまさかいきなり机の中から大きなカエルが出てくるなんて思わなかったから。」


「日下くんとあんまり一緒に居ない方がいいよ。
みんなバカがうつるって近寄らないし、１年ダブってて年だけ上だしね。」


「それはご本人からきいたけど、私が誰と仲良くしようとそれは私の勝手だし、そういう線引きした付き合いは私はしない主義なの。

日下くんが嫌になったら嫌いっていうし、あなたが私を嫌いになっても仲間はずれにされたとも言わないから命令めいたことは言わないでくれる？」


「はぁ・・・なんか凛花ってすごいね。
精神的に大人っていうか、孤立することに動じないタイプなのね。

あ、私は多野坂祥子（たのさかしょうこ）っていうのよろしくね。
祥子って呼んでね。」


「祥子ね。私はアメリカに長くいたから、腹が立つって思ったら拳銃撃っちゃうことになりかねないでしょ。
だからグループになっていがみ合うのが嫌いなの。」


「うわぁ！そ、そうだよね・・・銃社会でお互い嫌いってやりあったら恐ろしいよね。
じゃあ、凛花は帰国子女なんだ。

ってことは英語なんてペラッペラなの？」


「まぁね。生活で普通にしゃべってたから。
でも、日本の授業って文法とか書き言葉主体のテストでしょ？
そういうのはやったことがないから、わからないわ。」


「あら、あなたも帰国子女なの？
私もそうよ。
家の場合はお父様が貿易の仕事をしてるから、私も外国でお休みを過ごすことが多いのよ。

あなたのご両親は何をしてる方なの？」


「うちの両親は科学者だったわ。暴走車が突っ込んできてお店にいた人みんな死んでしまって・・・うちの親も・・・死んだの。
だから日本にいる年の離れた兄のところへ住まいを移したの。」


「あ、あら、余計なことをきいてしまったわね。
私は河内ゆかり。困ったことがあったら相談にのってあげるわよ。
遠慮なくいってきなさいね。」


「ぬぁ・・・何？」


「河内さんは悪いと思っているのよ。
高飛車だけど、表裏のないいいこなのよ。」


「まぁ・・・表裏がないだけいいのかしら？」