1-俺様探偵
魔法使い
この間から、見知らぬ姉ちゃんが近所にいるんだ。
俺様は、あの姉ちゃんは絶対に魔法使いだと睨んでいる。
あの魔法使いの正体を突き止めるべく、俺様は探偵団を結成した。
メンバーは、団長の俺様、相棒の犬のフラット。
道具として揃えたのは、変装用の帽子、マスク、虫めがね、うちの姉ちゃんの魔法の望遠鏡。
朝10時。その魔法使いは図書館に行く。
きっと、この町のことを調べて、みんなに魔法使いだと知られないようにしているんだ。
11時。急に紙を取り出して何かを書き始めた。きっとこの町の秘密をつかんだんだ。やばいぞ。
12時。図書館の公園でお弁当を広げている。
ここで、姉ちゃんの部屋からこっそり持ち出した魔法の望遠鏡の出番だ。
どれどれ、弁当の中身を……。
サンドイッチだ!しかも、俺様の大好物、卵とシーチキン!クソ、俺様が見ていることに気づかれたのか??……おっとよだれ。
ふん、俺様だって当然おにぎりの用意がある。サブ団員にしてやった、母ちゃん手作りだ。
中身は……梅と昆布か……まあ、普通だ。
昼の2時。図書館の主、健兄ちゃんが出勤してくる時間だ。
俺様はこの兄ちゃん、嫌いだ。ちょっと俺様とキャラかぶってるし、あの魔法使い姉ちゃんになれなれしくするしな。
あれ?もう4時。2時から4時までの俺様の記憶がない。くそー、魔法使いめ、俺様の記憶を消したな!
魔法使い、どこだ?
いたいた。あ、そんなにたくさん本抱えたら落とすぞ!ほら落とした。ああもう、探偵なんかやってなかったら手伝ってやるのに。
また、そんな持ち方したら、前が見えないだろ?ほらぶつかった。
もう、あいつ、ばか?ばかなのか?
しょうがねえなあ。
「て、てつだってやる」
あーあ、見てらんなくて、思わず手ぇ出しちゃったよ。
「やさしいのね、ありがとう」
そ、そんな顔で笑ったって、俺様は心を乱したりなんか、し、しないぞ。お、お前の正体だって、突き止めるんだからな。
「健ー」
こ、この声は!やべえ、姉ちゃんだ!
「この本、ここに置くからなっ」
「ありがとう」
逃げろ!
……ん?なんだ?魔法使いのやつ、健兄ちゃんとうちの姉ちゃん見て変な顔してるぞ。そうか、魔法をかけるつもりだな!
そうはさせないぞ!健兄ちゃんを突き飛ばしてやれ!
ダダダ ドカン!
「いった!何よ健、急にぶつかってこないでよ」
「わり……ってなんだよ、勝太、おまえのしわざか!」
うわわ、健兄ちゃんが、姉ちゃんにぶつかっちまった、逃げろ!
「まて、勝太!」
捕まっちまった!
「勝太!あんたこんなところで何やってんのよ。あ、私の望遠鏡!勝手に持ち出したわね!」
「ね、姉ちゃん 、ごめんなさい」
うわわ、魔法使い、こっちに来るぞ!
「由香の弟さんだったのね」
「桃香、いたのね。なに?うちの弟、桃香になんかした?」
「ううん、凄くいい子だったわ。本、運んでくれたのよ」
「でもお前、あの辺りで2時間ほど寝てたじゃねえか。昼寝は家でやれ、家で」
あーあ、俺様の計画は失敗。相棒のフラットにもなんの役目も与えてない。
でも俺様はあの魔法使い、桃香のことを調べるのをやめないぞ!桃香はいったい何者なのか、この桃香を見ると心臓がドキドキするのは一体なんなのか。きっとなんかの魔法に違いないんだ。
見てろよ桃香。こっち見て笑うんじゃねえよ。
おしまい
俺様は、あの姉ちゃんは絶対に魔法使いだと睨んでいる。
あの魔法使いの正体を突き止めるべく、俺様は探偵団を結成した。
メンバーは、団長の俺様、相棒の犬のフラット。
道具として揃えたのは、変装用の帽子、マスク、虫めがね、うちの姉ちゃんの魔法の望遠鏡。
朝10時。その魔法使いは図書館に行く。
きっと、この町のことを調べて、みんなに魔法使いだと知られないようにしているんだ。
11時。急に紙を取り出して何かを書き始めた。きっとこの町の秘密をつかんだんだ。やばいぞ。
12時。図書館の公園でお弁当を広げている。
ここで、姉ちゃんの部屋からこっそり持ち出した魔法の望遠鏡の出番だ。
どれどれ、弁当の中身を……。
サンドイッチだ!しかも、俺様の大好物、卵とシーチキン!クソ、俺様が見ていることに気づかれたのか??……おっとよだれ。
ふん、俺様だって当然おにぎりの用意がある。サブ団員にしてやった、母ちゃん手作りだ。
中身は……梅と昆布か……まあ、普通だ。
昼の2時。図書館の主、健兄ちゃんが出勤してくる時間だ。
俺様はこの兄ちゃん、嫌いだ。ちょっと俺様とキャラかぶってるし、あの魔法使い姉ちゃんになれなれしくするしな。
あれ?もう4時。2時から4時までの俺様の記憶がない。くそー、魔法使いめ、俺様の記憶を消したな!
魔法使い、どこだ?
いたいた。あ、そんなにたくさん本抱えたら落とすぞ!ほら落とした。ああもう、探偵なんかやってなかったら手伝ってやるのに。
また、そんな持ち方したら、前が見えないだろ?ほらぶつかった。
もう、あいつ、ばか?ばかなのか?
しょうがねえなあ。
「て、てつだってやる」
あーあ、見てらんなくて、思わず手ぇ出しちゃったよ。
「やさしいのね、ありがとう」
そ、そんな顔で笑ったって、俺様は心を乱したりなんか、し、しないぞ。お、お前の正体だって、突き止めるんだからな。
「健ー」
こ、この声は!やべえ、姉ちゃんだ!
「この本、ここに置くからなっ」
「ありがとう」
逃げろ!
……ん?なんだ?魔法使いのやつ、健兄ちゃんとうちの姉ちゃん見て変な顔してるぞ。そうか、魔法をかけるつもりだな!
そうはさせないぞ!健兄ちゃんを突き飛ばしてやれ!
ダダダ ドカン!
「いった!何よ健、急にぶつかってこないでよ」
「わり……ってなんだよ、勝太、おまえのしわざか!」
うわわ、健兄ちゃんが、姉ちゃんにぶつかっちまった、逃げろ!
「まて、勝太!」
捕まっちまった!
「勝太!あんたこんなところで何やってんのよ。あ、私の望遠鏡!勝手に持ち出したわね!」
「ね、姉ちゃん 、ごめんなさい」
うわわ、魔法使い、こっちに来るぞ!
「由香の弟さんだったのね」
「桃香、いたのね。なに?うちの弟、桃香になんかした?」
「ううん、凄くいい子だったわ。本、運んでくれたのよ」
「でもお前、あの辺りで2時間ほど寝てたじゃねえか。昼寝は家でやれ、家で」
あーあ、俺様の計画は失敗。相棒のフラットにもなんの役目も与えてない。
でも俺様はあの魔法使い、桃香のことを調べるのをやめないぞ!桃香はいったい何者なのか、この桃香を見ると心臓がドキドキするのは一体なんなのか。きっとなんかの魔法に違いないんだ。
見てろよ桃香。こっち見て笑うんじゃねえよ。
おしまい