桜のキセキ


悠飛は手のひらに乗っかってた花びらを、私に渡した。



「よく見るとハート型だね」



「そうだな」



風に乗せて飛ばそうかと思ったけど、私はスケッチブックに挟んで押し花にした。




なんだろう…



飛ばしたらなんか違うような気がしたから。



「あのさ、さっき何言いかけたんだ?」



「悠飛の病室どこかな?って」



私が答えたら悠飛は、フッと笑った。



「まじか。俺も聞こうとしてた」



「そうなんだ!」




今度は二人して笑った。



「なんか気が合うな!俺ら」




「そうだね!」




なんだろう…



今日初めて会った人なのに、ドキドキしてる。


緊張…?なのかな




でも、ワクワクしてる。



だから自然と頬も緩む。




久々に、「楽しい。嬉しい」と思えた気がした。



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