桜のキセキ


個々に別れてから病室に戻り、ベッドに潜る。

火照った頬が戻らないのは自分でも分かっていた。

ど、どうしよう!!!!

男の子となんて、まともに手を繋いだ事なんて無いのに!!

あんなにもあっさりと・・・。


と、自分で葛藤していた。

繋がれていた右手は今でも悠飛の温もりと感触がほんのり残っていた。



コンコンコンッ。


ドアを叩く音

「検温の時間だよー」

薄い桃色のナース服を纏い、パッツン前髪で、マスク越しでもわかるくらいニコやかな可愛い系の看護師がやってきた。

この看護師さんは病院に来てから仲良くなった美穂さん。


「はい!」



いつも夕飯前には、体温と血圧を測る時間がある。


手慣れた手つきで作業を始める美穂さんは、私に体温計を差し出した。


「亜弥ちゃん、今日ほっぺた赤いよ??大丈夫??」


「へ?」

美穂さんはぷにぷにと私のほっぺたを華奢な指先で優しくつっついている。


歳上だけども、年齢が近いせいか親しみやすい。




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