狼君の孤独



「んー…」



私は何を買うか迷っていると、ふと甘ったるい香水の香りがした。



───ヒュッ




「ひゃあ…っ!?」




いきなりで何がなんだかわからなかった。



わかったのは、私の頬にヒリッと痛みが走ったこと。




自動販売機の光に照らされる包丁。



その持ち主、キラキラ明るい金髪のピアス。



目と口がにやぁって、笑っていて気持ち悪い。




───逃げなきゃ




そう思っても、足は動いてくれなかった。




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