「異世界ファンタジーで15+1のお題」三
「ターニャ様、それは一体どういうことなのですか?」

「今、申した通りです。
あれは魔術…とても良くない魔術によって引き起こされたもの…
異常気象等ではないということです。」

そう言うと、ターニャはその場にいた者達の顔をぐるりと見渡し…
その鋭い瞳は、ルシアンの所でぴたりと停まった。



「詳しいことはいずれまたお話致しますが…
少し、この国のことを知りたいのですが、どなたか…そう、あなた…」

指差されたルシアンは、驚いた様子でターニャをみつめる。



「ターニャ様、あの方はこの国の皇太子妃様のルシアン様でして…
案内なら、誰か別の者を…」

「いえ、マルセル。
私がターニャ様をご案内させていただきますわ。」

「……ありがとうございます、ルシアン様。」








「では、まず、城の中からご案内致しましょうね。」

「……ルシアン様、お庭を案内していただけないでしょうか?」

「お庭を……?
ええ、では、お庭へ参りましょう。
ちょうど今は薔薇の花が満開なんですよ。」

「そうですか…それは楽しみです。」

二人は他愛ない話をしながら、庭の薔薇園へ向かった。



「まぁ…美しい!
まるで天国みたいですわね!」

咲き誇る色とりどりの薔薇の花に、ターニャが感嘆の声をあげた。



「喜んでいただけて幸いです。」

「……ルシアン様…
天界とはやはりここのような所なのですか?」

「……えっ?
……今、なんと……」

ルシアンの瞳に怖れの色が浮かぶ…



「……ルシアン様。
あなた、とんでもないことをしてしまわれたようですね。」

「とんでもないこと…?
私が……?」

「……あなた……
悪しき者と契約を交わしてしまいましたね…」

「い、一体、あなたは何のことを…」

うろたえるルシアンに向かい、ターニャはすっと人差し指を立てて空を指差した。



「あなたのせいで、天に大きな穴が開こうとしています…」

その言葉に、ルシアンはハッと息を飲んだ。
ルシアンの脳裏には、忘れかけていた森の中での出来事が甦る…


「まさか……あのお婆さんが……」

そう呟いたルシアンの唇が、次第にその色を失っていく…
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