「異世界ファンタジーで15+1のお題」三
「私はここに着いてすぐにこの地で起こったものを見てみました。
そして、すべてを知ったのです。
悪しき者はあなたを利用し、空の綻びを大きくしようとしています。
現にもうずいぶんと状況は悪くなっています。」

ターニャは、憂いを含んだ瞳で空を見上げた。



「わ…私は、天界のみんなに私が元気でいることを伝えたくて…
そ、それで…あのお婆さんは、私を天界の者に一目会わせてくれると…」

詳しいことはわからなかったが、なにかとんでもないことをしてしまったのだという不安感でルシアンの胸は張り裂けそうになっていた。



「悪しき者はあなたの声色を使い、天に向かって悲痛な叫びを上げています。
『助けて!』と、毎日、今にも死にそうな声を出して…
天界の方々は、そのことでとても心を痛め不安な気持ちをあなたに向けています。
それが、あのような形となって現れているのです…
時期にあの綻びは大きく裂け、そこから多くの天界人が地上にこぼれ落ちて来ることでしょう…」

「そ…そんな…!!
あのお婆さんは、なぜ、そんなことを…!」

「あなたはなにもご存知ないのね…
天界人の翼には大きな力がある…とてつもなく大きな力が…
悪しき者達はそれを狙っているのです。」

「そ…そんなこと…!」

ルシアンの顔から血の色が失せ、その身体はわなわなと小刻みに震えていた。
自分のしでかした事で、多くの仲間達の命が危険にさらされている…
思いもよらぬことを言われ、ルシアンは自分の罪の大きさに押し潰されそうになっていた。



「ターニャ様、なんとか出来ないのですか!?
仲間達を…あの空を元に戻す方法はないのですか!?」

ルシアンはターニャの胸に取りすがり、詰問する。



「……方法はないことはありません。
ですが…それはあなたにとってとても辛いこと…
あなたにそれが出来るでしょうか?」

「私、どんなことでも…どんな辛い事でもやりとげます!
仲間を救いたいのです!
ターニャ様、お願いです!
その方法を教えて下さい!
お願いします!!」

ターニャは、ルシアンの瞳の中に強い決心の色を認めた。



「……わかりました。」

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