「異世界ファンタジーで15+1のお題」三
014:懐かしの家路





「フォルテュナ!
どうしたんだ!?大丈夫なのか!」

フォルテュナが目を開けた時、目の前にはセスの顔があった。



「わっ!」

「えっっ!?」

素っ頓狂な声を上げたフォルテュナに、セスは今まで掴んでいたフォルテュナの肩を離して飛び退いた。



「な、なんだよ。
びっくりするじゃないか…!」

「ご、ごめんよ。」

「それより…大丈夫なのか?」

セスは、心配そうな顔で再びフォルテュナの顔をのぞきこむ。



「大丈夫って…何が?」

「何がじゃないだろ!
突然黙りこんだと思ったら、ぴたっと動かなくなって…」

「動かなかった…?
ねぇ、セス、僕、どのくらいおかしかった?」

「どのくらいって…そうだな。
20秒…いや30秒くらいかな?」

「30秒…!?」

フォルテュナがふと目を落とした蝋燭は、まだほとんど溶けてはいなかった。



(まさか…
今、僕が見ていたものがたったの30秒だったっていうのか…?)

フォルテュナは、混乱した頭を抱え、ベッドの上に座りこむ。



「どうした?気分でも悪いのか?」

セスが、フォルテュナの隣に腰を降ろした。



「そうじゃないんだ…
ただ……」

「ただ、何なんだ?」

「……セス!確かこの国は大昔に滅びたって言ってたよね!?
どうして?どうして滅びたんだい?」

フォルテュナは、セスに詰め寄った。



「な、なんだよ、いきなり!
詳しい事は知らないけど、多分、疫病か何かじゃないか?」

「……違うよ。」

「……違う?」

「可哀想に……」

そう言ったきり、今にも泣き出しそうな顔で黙りこんでしまったフォルテュナに、セスはただおろおろとするばかりだった。
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