秘密の歌は俺へのエール
「あれ…?ふた…っ」
ボールがふたつ見えてなんとかグローブにはおさまったものの、その反動で後ろに倒れる。
「緒方、大丈夫か?」
谷川先輩が駆け寄ってきた。
「はい…一応は。」
「緒方がこんなヘマするなんて珍しいじゃねぇか。っていうかお前、顔赤いぞ?」
先輩が俺の額に手を当てる。
「あっち!お前よくこんなので部活来れたな!ってか、熱あるって知ってた?」
「いえ…朝ちょっとだるくて、すぐ帰って寝れば大丈夫かと…」
「試合前なんだから少しでも体調悪かったら休め。ケガされたらそっちのほうが迷惑だから。いいか?」
先輩の言う通りだ。試合前にケガしたらもともこもない。
「はい…。今度から気をつけます。」
「よし!」
優しい笑顔で先輩は俺の頭をなでる。
本当に先輩はいい先輩だ。