空恋 ~君が残したメッセージ~
「あらあら、引っ越して来たのはあなただったの?」
人当たりの良い綺麗な女の人が
玄関からひょいと顔を出し
ニコッと笑顔でそう言った。
___綺麗な人だな…
「はい!青野と申します。あ、これどうぞ」
私は右手に用意していたお餞別を綺麗な女性に差し出した。
「まぁ、頂いてもいいんですか?」
「是非!」
「ありがとう」
にっこり
さっき玄関から出てきた笑顔より
満面の笑みでお餞別をもらってくれた。
うわぁ、ほんとに綺麗だな。
「ご家族といらしたんですか?」
「はい。親子二人で」
「まぁ、そうなの」
「今は疲れて寝ているので
後で起きたらまた伺いますね」
「分かったわ。これからよろしくね」
「はい!」
綺麗な笑顔に引き寄せられないように
私も満面の笑みで答えた。