恋スル。



あ…


放課後、日直だったわたしは職員室帰りに、偶然橘くんを見かけた。

遠くからでも分かるくらい、モデルみたいにかっこいいシルエット。

橘くんが急にこっちに振り向いたから、わたしは目があってしまった。


橘くんがわたしを好き、そんな噂が頭をよぎる。

一気に体温は上昇。

橘くんを直視できなくて、思わず下を向いてしまった。



「…久住さん、だよね?」



橘くんの声が、わたしを呼んだ。

これはひょっとして…



「突然で悪いんだけどさ、俺…」



あ、待って…

まだ心の準備ができてなー…



「実はさ、田中さんのこと気になってて」



………は?


わたしは思わず橘くんを見た。

ほんのり顔が赤い橘くん。



「二人っていつも一緒にいるからさ。
田中さんって男子避けてるみたいで、久住さんにその」



わたしはその言葉を理解した。

そういうこと。



「…うん、いいよ」



また、だ。



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