恋スル。
「じゃあ、5時に、ここ集合で」
その後こっそりと、橘くんに“ありがとう”と言われた。
澪は何か言いたそうな表情だったけど、わたしはそのまま何も聞かず、澪達と別れた。
「久住って、絶叫系好きなのか?」
「うーん…好きって言うほどじゃないけど、なんか今はそういう気分なの。
コウ、絶叫系苦手だった?」
「全然余裕」
そう言って笑うコウ。
心から楽しいって思えた。
橘くんのことを考える時間もなかったくらいに。
「次、あれ乗りたい!」
「子供かよ」
「良いじゃん!
はーやーく!」
「ちょっ…おい!」
「きゃっ」
え…?
履きなれない靴を履いて来たせいか、足がもたついて地面に倒れそうになった。
そんなわたしの右手が強く引かれ…
「…焦った。
危ないだろうが」
「ご…ごめん」
気付けば、コウの腕の中にすっぽりおさまっていた。
温かくて…
甘くて、優しい香りがした。