恋スル。
「悪いな。
手、痛くなかったか?」
「うん、大丈夫…ありがとう」
「ん」
恥ずかしくて顔を上げられない。
そして、コウと初めて会った日を思い出した。
あの時も、こんなふうにコウとの距離は近かった。
こんなふうに優しかった。
「次は?
乗りたいやつ」
「…ない、かな。
もう乗りたいの全部乗っちゃったよ」
コウには笑って見せたけど、本当は一番乗りたかったものがあった。
それは……
観覧車。
ここの観覧車は有名みたいで、綺麗な海が見えるって噂で聞いて気になっていた。
だけど、ダメだ。
コウに観覧車乗ろう、なんて…
ぜーったいに、言えない!
だって、観覧車って恋人が乗るものでしょ?
さすがにコウでも、あんな狭いところに二人っきりなんて嫌がるに決まってるよ。
だから、今回は諦めよう。