恋スル。



「…え?わたし?」

「そう、澪だよ。
橘くんのアド送ってもいいかな?」

「分かった、後で送って」



昨日の夜に、何度も笑う練習をした。

きっと今のわたしは、ちゃんと笑えてる。



「ねぇ…大丈夫なの?
花陽が嫌ならわたしメールだって断るし」

「ううん、大丈夫!
澪と橘くんならお似合いだし、わたしなんかじゃきっと周りの女子に文句言われちゃうよ」

「そういう問題じゃなくて」

「いいから!
ちゃんとメールしてね?
…てかトイレ行っても良い?
さっきからずっと我慢しててさ」

「もう、女の子が何言ってるのよ!
早く行きなさい」

「あはは、ごめん〜」



やっぱり、ちょっとしんどいかも。

教室を出て、トイレに向かうまでの間、わたしは涙が溢れてきた。


噂を信じたわたしが馬鹿だったかな。

わたしじゃなくて、澪を見ていただけじゃん。

普通に考えて、わたしより澪を選ぶに決まってるじゃん。


…でも。


少しくらい調子に乗らせてくれても良いじゃん…


神様の馬鹿。



「おい」



わたしだって、わたしだって…



「おい、って!」

「…っ!?」



急に、後ろから右手を掴まれた。



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