Dear…愛する貴女よ
なんだかクラスの奴らが妙に色めきだっている。

みんなが窓際に張り付いていた。

そしてオレも友達につられて窓の外を見た。

「ゲっ・・」

「啓くーーーーん、どこーーー??」

男子校の校庭のど真ん中に立って女がオレの名前を高らかに呼んでいた。

・・・ゆりだ・・。

おれは引きつった顔をしながら校庭から目をそらそうとした。


「あっ、啓くーーんっっ」


や、ヤバい!目が合ってしまった・・。

「ヒューー!!啓の女かよーーー!!」

「お前やるなーー」

オレは冷やかしの声を背中に受けながら猛ダッシュで下へ下へと駆け下りた。



あ・・あンのクソアマーーっっ!!

意味わかんねーし!なんでここにいんだよ!?



そしてオレは1階まで降りさらに校庭まで走る。こんなに全力疾走・・何年ぶりだよ、オレ。すげー疲れる。

「あっ、啓くんっ」

オレを目の前に見つけたゆりは何食わぬ笑顔だ。

こっちはそれと全く正反対な形相だ。

「てっ、てめーーっ、どーゆうつもりだーーー!!」


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