Dear…愛する貴女よ
だいたいこんな弁当もって誰と飯が食えるってんだ・・。

やっとゆりがきたという騒ぎも沈静化してきたってのに、こんな弁当を教室で食べたらまた何言われるかわかったもんじゃない。


オレは普段誰もこない屋上へきた。

屋上の扉を開けるとグランドでサッカーをしている奴らの声がかすかに聞こえる。


とりあえずフェンスにもたれかかって一応まわりに人がいないか目をキョロキョロとした。

「・・・ふぅーー」

・・疲れた・・。

今日半日でものすごく疲労がたまった・・。

どうしよう・・。

また明日も朝から叩き起こされて学校に行かされて・・また弁当持ってこられたら・・。


オレ・・身がもたねぇ・・。


とりあえずオレはこのかわいらしい包みを広げて弁当箱を開けた。

ちなみに弁当箱も・・ウサギだった・・。


見た目は・・なんだろ・・流行ってんのか・・？？

えーと・・キャラ弁・・？？

またウサギだしっっ。

これが高校生の男に持たせる弁当なのかよ。

よかった・・こんな弁当やっぱ教室であけなくて大正解だ。

ホントありえねー。


オレは引きつった顔が元に戻らないままとりあえず箸を持った。言わなくてもわかると思うけど箸もウサギ・・。一式セットかよ・・まるでオレが幼稚園児みたいじゃねーか・・・。


だけど、ゆりが朝早くからこのキャラ弁を作っている姿を想像するとちょっと笑えた。



< 13 / 86 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop