Dear…愛する貴女よ
はかなき恋心
「なっ、親父が帰ってくる!?」

「うれしいでしょ?啓くん」

「は!?」

うれしいって・・。

そりゃ、お前だろーが・・。

「でも、ほんの2日くらいみたいだけどね」


日曜日の午後、ゆりは洗濯物を干しながらオレと話し、オレはリビングでくつろぎながらそんなゆりと会話をしている。


「なんで急に帰ってくんだよ・・」

だいたい親父のヤツ何の連絡もしねーで・・。

「んー・・一回日本に戻って打ち合わせしてそれからまた戻るみたい・・」

「・・・」


ゆりと暮らすようになってもうすぐ1ヶ月がたとうとしている。

こんな生活にもだいぶ慣れ、最近では学校に毎日通わされている。

そのせいか、以前に増してテストではいい成績を残し、ゆり手製の弁当には相変わらずと言っていいほど殻入りの卵焼きが入っている・・。

もちろん弁当箱は・・ウサギだ。


でも、近頃考えることがある・・。


氷室ゆり・・22歳だっていってたけど・・あんなオッサンと結婚して一体何になるんだろう・・。

金目当て、というような感じじゃないし・・。いや、彼女にはできないだろう・・。

全く変なオンナ・・。



「啓くーん、今日ちょっと買い物つきあってーー」

「・・かっ、買い物!?」

このオレがっ!?

「食料品が特売なのっ」

食料品売り場にっっ!?しかも特売・・。

「ねっ」
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