Dear…愛する貴女よ
「啓・・」

診察室の扉が開く。

診察を終えたであろう先生が出てきた。

「先生っ、ゆりは・・!?ゆりは!?」

「落ち着けっ!今から話す」

・・っ、ゆり・・。

今頃病室で何を・・一体どうしてるんだろう・・。

苦しい・・?

それとも悲しい・・?


「啓、彼女・・ゆりさん?最近なんかあったんじゃないか?ストレスによる過労だな・・。心配事や不安・・」

・・・親父のこと・・オレのこと・・。

「あとは・・貧血かな・・」

「貧血?」

それでぶっ倒れたのか・・?

「先生!ゆりはなんか重い病気とかじゃないよな!?」

オレは勢い任せに先生に食らいつく。

「あ・・いや、そういうわけじゃないんだけど・・」

「じゃあ何なんだよっ!?ハッキリ言えよ!!」

頭に血が上ってどうしようもなくなってきた。


「啓・・」

「・・・」

緊迫してくる。

「先生・・」


「啓、彼女・・・妊娠・・してるんじゃないのか?」


・・・・。

「に・・妊娠・・?」


頭から一気に血の気が引いていった。





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