Dear…愛する貴女よ
・・確かに・・そうなんだ・・。
オレは逃げている。
そんなことはオレ自身が一番よくわかってる。
遅かれ早かれ、ゆりとは絶対に会わないといけない。
それが・・
この罪深いオレのしなければならない最初のこと・・。
「先生・・ゆりの病室は・・?」
オレは先生にゆりの眠っている病室を聞いてその足で階段をゆっくりと上がった。
まず、ゆりをみたらオレは一体どんな顔をするんだろうか・・。
ゆりはオレにどんな顔をするんだろうか・・。
ふと、忘れていたことを思い出した。
忘れていたというより、忘れてしまいたかったこと。
オレが愛した女は親父の嫁・・。
恋をした、愛してしまった・・
そんなこと認めたくなくて。
ただ結局ガキすぎたこのオレはついにはその感情を認めざるをえなくなって・・。
そして理性を失った・・。
本能のままに生きる獣のように・・。
オレは自分の中の欲望に勝てなかった。
全部オレ自身の弱さからつくった結果だった。
「・・・・・」
オレはゆりの眠る病室の戸を開けた。