Dear…愛する貴女よ
「・・ゆ・・り・・?」
そっとのぞいたその寝顔からは、幸せな夢でも見てるかのような笑みを浮かべていた。
・・恋をして、初めて確信したことがある。
・・大切な女の幸せな顔は守らないといけない。たとえ何があっても・・。
誰かが言ってたっけな・・そういえば・・。
ああ・・親父が言ってたんだ・・。
親父は母さんとなんで別れたんだろう・・。
一度も聞いたことはなかった。
その大切な女の幸せな顔を守ることができなかったから?
それともその顔を作ってやれなかったから?
「・・啓・・くん・・?」
「お・・起きたのか?」
「うん・・ごめんね、心配かけちゃって・・」
オレはゆりをハッキリと見ることができなかった。
「どうしたの・・?啓くん、目が真っ赤よ・・?泣いてたの・・?」
「な、泣いてなんか・・」
そう言ったオレの声は完璧に震えていた。
「オレが・・嫌い・・?」
オレはすごく意味の分からないことを口走った。
でも、ゆりは何の疑問ももたずに、何のためらいもなく返答した。